書名が貴方の好奇心の琴線に触れたなら幸いである。5次方程式の解公式が書けない理由、群論に関心がある、それ以上に、現代ガロア理論に難渋したことのある方々に、本書は特別な意味をもつと信じる。気軽に読み通せる内容とは言わないが、筆者の控えめな意図は、高等数学を巡る知的戯れとも言える。というのは必要な前提知識が高校数学(因数分解、根と係数の関係、1のn乗根、整数の剰余類、順列、総和Σ、総積 Π、添字や集合の表記)だけなのである。  方程式の基本性質とユークリッドの互除法(1章)は詳述し、3次、4次の方程式の一般解法(2章)から群論(3章)に導かれることを、着想の始まりから述べた。2章は初等的な言い方を工夫したから、高校夏休みの読み物にもお薦めしたい。3章から置換の掛け算、添え字の算術へ進むと大学生の抽象思考が要るが、イメージ化に役立つよう文字計算を略さず書いた。ガロア原著のすべて(4章)を知るという非日常的な体験を楽しまれ、現代論の要約(5章)にも興味が繋がることを願う。(序文より)

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